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「お願いします…」
私は一礼した。
そして、構えた。
私が強くなるには実践経験が少なすぎる。
だから、吉田さんにお願いした。
『君がこないなら僕が行くよ。』
吉田さんは私に突っ込んできた。
カンッという音が響いた。
けれど、それは私の耳にしか聞こえないもの。
道場は私が声を出さなければ静かなまま。
そして、何度も打ち合った。
「ハァ、ハァ……」
『君の課題は圧倒的な体力のなさ。そして、相手とやる感覚のなさだよ。』
私の額から汗が流れる。
私はそれを拭い、また構え直した。
みんなを守る為にも……
やらなきゃ…
「まだまだぁ!」
私は地面を蹴り、突っ込んだ。
夜遅くに誰もいる筈がない道場で響く声。
私は毎日、この時間が辛くも楽しい時間だった。
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