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「儂らなど見えない方が良かったのではないか?」
私は首を振った。
みんなが見えないなんて私にはあり得ない。
確かにみんなのことが見えるから人間には嫌われるのかもしれない。
でも、みんながいるから楽しいんだ。
普通の人には見えたり見えなかったりする妖。
でも、私は妖のみんなに助けられている。
「みんながいるから私は笑っていられる。………父のしたことは許されるものではないけれど…」
「志帆が京にいる限りは儂ら、妖は皆、味方だ。お主の父親とは違うからな。」
私は嬉しかった。
父とは違うと言ってくれたことが…
私は母みたいになりたい。
天狗さんはニコリと笑った。
笑わなければ怖いおじさんだけど、こう笑ってくれるから私は安心出来る。
『志帆、神社にはもう誰もいないよ。』
「分かった…。帰ろうか……。鞍馬の天狗さん、また会いましょうね。」
天狗さんは手を振って見送ってくれた。
私も手を振って森から抜け出した。
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