Vol.08

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  恋心って、どうやったら消えるんだっけ?? あの時に、ちゃんと失恋しておけば良かった。 や、失恋してたんだけど、……親しくなんて、ならなければ良かった。 * * * 「お疲れ様でした」 金曜日。 お店の手伝いに行かなくなって、丁度1ヶ月。 蓮さんは、その間、二度、来たらしい。 店長が毎回、御丁寧に教えて下さる。 奏多くんって、気を遣ってるんだか、どうなんだか解らない時があるのよね。 「立花さん、最近、ゆっくりだね?」 「そう?」 「いっつも、金曜日は凄い勢いで帰ってくからさ」 えぇ。 お陰様で、金曜日の夜を持て余してますけどね? 「……彼氏と別れちゃった、とか?」 自分で言っておいて、申し訳なさそうなカオ。 だったら、最初っから聞かなきゃいいと思うんだけど。 「違います」 「じゃあ、失恋?」 「あのねぇ?一ノ瀬くん。申し訳なさそうなカオする位なら、聞かないで?」 そもそも、私に興味も無いでしょうよ? 「あ、思ったよりは元気だね?」 「は?」 「怒る元気も無かったらどうしようかと思ってた」 …………。 「なるほど。一ノ瀬くんが、無駄にモテる理由が解った気がするわ」 「無駄って、ひどいなぁ」 「……別に元気だから、気にしないで。でも、ありがと」 モテるには理由がある。 コレは、確かにモテるわ。 まぁ、誰もがやっていい訳じゃないけどね?勿論。 「送ろうか?」 「大丈夫。一ノ瀬くんのファンに絡まれるの怖いし」 言った私に、笑顔だけ返す。 に、しても。 職場の同僚にまで気を遣わせてしまった。 思ったより、重症? 地下鉄から地上に出れば、すぐに店が視界に入る。 今日は、金曜日の夜で。 蓮さんは、来てるんだろうか? なんて、金曜日ごとに思ってる時点でアウトなんだけどね? 本当、困っちゃうなぁ。 早く帰って、ご飯食べて寝ちゃおう。 もう、コンビニのおにぎりでいいや。 作る気力も無い。 「朱音、ちゃん?」 近所のコンビニで、おにぎりを選ぶ背後からの、声。 その声に、思わず肩が跳ねた。 振り向くのが怖くて、固まったまま、動けない。 「……朱音ちゃん?」 「っ、あ、」 由良さんに顔を覗きこまれて、どうしていいか解らず。 唇を、噛んだ。 「やっぱ、そうや」 「……お久し、振り、です」  
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