Vol.04

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  呼ばれて振り返って、 「っ!」 固まる。 だって。 何で、この人が私を呼び止めるの? それ以前に、何で、私の名前をこの人が、知ってるの!? 「あれ?アカネちゃんやんな?名前」 「……は、い」 「店長さんに、呼ばれてたやろ?」 不審いっぱいの私を察してか、名前を知ってる理由を教えてくれる、 蓮さんの、……彼氏、さん。 「あ、の、」 「時間ある?」 「え?」 「ちょっと、話してみたかってん。オレ」 言う、笑顔。 蓮さんとは違う、明るい、笑顔。 「あかん?」 「……あ、あの、」 「アカネちゃんとこの店でもえぇし。コーヒー一杯だけ。付き合うてくれへん?」 知らない人、ではない。 でも、知ってる人でも、ない。 と言うか、ある種、この人、私の恋敵なんですけど。 「蓮が居るとさ、聞けない事やから」 「あ、」 そーだよ、ね? この人が、私に何か話したい事があるとすれば、蓮さんの事に決まってる。 「で。どこが好きなん??」 流石にうちの店は店長が居るから嫌で、近くのファストフードに入って、いきなり本題突き付けられました。 「えっ、と?」 「蓮の、どこが好き?」 「……あ、の、」 え? 待って。この状況をうまく飲み込めない。私。 オレのモンに手ぇ出すな!的な話では、無いの? 本来であれば、そーゆー展開なんじゃないの? なのに、何で、この人、満面の笑顔でこんな事聞くの?? 「ほら。蓮て、フェロモン駄々漏れのタラシ顔やろ?寄ってくるオンナノコって、結構、そーゆー系の子ぉばっかやから。アカネちゃんみたいな子、新鮮やねん」 そーゆー系?? どーゆー系??? 「どこ。と、言われましても、」 「……好きなんやろ?」 好き、ですけど。 ソレを、アナタに言われるのは、複雑です。 「ごめんなさい」 「や、謝る事やないって。ソレは別にえぇねん。そーやなくて、どこが好きなんか知りたいだけやから」 解んない。 これ、どう解釈すればいいの?私。 蓮さんを私に盗られる心配なんて露程もしてないから、どこを好きになったか言ってみろ。的な? ……って、カオはしてないんだよなぁ。この人。 何で、こんなキラッキラしながら聞いてくるんだろ? 女子会での恋バナみたいなノリ。 あれ?もしかして、この人が女側。的な事なのかな? ボーイズラブの知識を誰か今すぐ下さい。 ……いや、要らない。  
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