Vol.04

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  男側とか、女側とか。 そんなん、想像するのも嫌だ。 無理。 ……あぁ、ソレを理由に嫌いになれたら良かったのに。 「アカネちゃん?」 「……解んないです」 「え??」 この人なら、きっと蓮さんの魅力、幾らでも語れるんだろうなぁ。 「解んないんです。よく。……気付いたら、好きでした」 「…………、」 でも。 人となりも知らないで、好き。なんて、そりゃ、受け取って貰えなくても当然か。 「えぇ子やなぁ。自分」 ふと、そんな柔らかな声が降って来て。 伸びた手が私の頭を撫でる。 「え?」 「オレが今迄聞いた子は、全員、テキトーな事言うてたで」 「……はぁ」 テキトーな事?? 「蓮ちゃんもなぁ、あの見た目やから、まぁ、しゃあないんやろうけど。うん。えぇなぁ、それ」 それ? どれ?? 「好きになるんなんてそんなモンやと思うで?オレも。理由なんて、後からのこじつけやもんな」 「……そー、ですか?」 「うん」 いや。 でも、話した事もない人を好きになる。ってのは中高生が限界だとも思うんだけど、ね? 「あ、オレ、由良隆也」 「ゆら、さん?」 「ん。由良」 珍しい、苗字だなぁ。 「……あ、えっと。立花朱音、です」 「立つ花の方?」 「はい」 「名前は?」 「朱色の音。です」 って、あれ?何で、自己紹介?? 反射的に名乗っちゃったよ。 必要なくない?? 「ふぅん。あ、蓮のフルネーム、知ってる?」 「え?あ、いえ」 「芳崎蓮。草冠の芳、解る?」 「芳香剤の芳、ですか?」 「そ」 ってか、何で蓮さんのフルネームまで?? 「ソレに普通の崎。で、蓮の花で、レン、な」 「あの、」 「3月11日生まれのO型。つい最近、28歳になったばかり。兄二人と姉一人の、典型的末っ子タイプ」 いやいやいやいや。 ソレ、私に言っちゃっていいんですか?? ってか、3歳も上だったのか。 じゃなくて。 何で、そんな話になるの?? 「朱音ちゃん。長女やろ?」 「っ、え?」 「オレも長男やから解んねん。長女オーラ全開」 「……あ、出てますか?長女オーラ」 「むっちゃ出てる」 言って笑うから、反射的に笑顔を作るけど。 何だ?コレ?? え?待って。 この人は蓮さんの彼氏で、私は蓮さんに失恋してて、 何で、そんな二人でコーヒー飲んでるの?? この状況、おかしくない? おかしいよね??  
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