Vol.07

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  * * * 「せやから、言うたやろ?刺されても知らんで?って」 家に帰る気にもならんくて、寄った隆也の家。 事の成り行きを話せば、一刀両断。容赦なしのソレ。 「にしても、最悪なバレ方やんな?ソレ」 「…………」 自業自得。 その言葉の意味を、痛いほどに実感した。 「刺された方が、マシやったかもな」 「……へぇ」 「何やねん?」 「や、別に」 ホンマ、刺された方がマシやん。こんなん。 「言うつもりやってん」 「ん?」 「嘘や。って、何度か、言おうとは思ってん」 あん時は、知らんヤツやった。 こんな風に話すとも思って無かった。 無かった事にして欲しい。 そう言った時も。 距離を縮める気ぃなんて、無かった。 「……シンドイ」 彼氏が居る。言うた時さえ見せんかった、拒絶の眼。 何やろ?もう、笑ってもくれなさそうやった。 話も、聞いてくれないんやろうなぁ。 まぁ、何話すんが正解かも解らんけど。 俺、追いかけて、何言うつもりやったんやろ。 「……蓮ちゃんは、何に一番ダメージ受けてるん?」 「あ?」 何、に?? 「嘘がバレた事?それで、朱音ちゃんに嫌われたかもしらん事?」 「……、」 「それとも、もう、朱音ちゃんのご飯が食べられなくなるかもしらん事?」 「っ、」 あぁ。 せやな。 客と店員やから、店で注文は聞く。言うてたけど、来週の金曜は居てないかも、な。 「蓮?」 「解らん」 「ん?」 「……俺、何が一番シンドイんやろ?」 メシが食えんかもしらん事なんかな? ソレは、嫌やな。 「蓮は、朱音ちゃんの事、どう思ってん?」 「……それも、解らん」 ソレも、嫌やけど。 「解らんけど、」 「うん?」 朱音のメシは好きや。 アレが食えんとか、ホンマ、シンドイねんけど、 「あんなカオさせたかった訳や、無いねん」 涙も、拒絶も、シンドイ。 笑顔を、この先見せてくれなくなるかもしらんのも、……シンドイ。 「ホンマ、刺された方がマシや」 「そーゆぅんを、好き。いうんや無いの?」 「知らん。解らん」 さんざん、傷つけて来た罰なんかな? 今になって、今迄傷つけて来た分が、全部、返って来てるんやろか? ココロの傷なんて、つける薬も無いのに、な。 [Next]
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