Vol.09

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  オンナの涙は嫌いで。 オンナに泣かれるんが、ずっとウザかってんけど。 「朱音」 「私の事、何だと、思って、」 子供みたいな、グチャグチャなソレを、 可愛ぇな。 なんて、思う日が来るとは思わんかった。 「好きやで」 「……うそ、」 何度もその涙を拭って、 何度もその頬を撫でて、 やっと落ち着いた頃、 「っ、」 そっと、その唇に触れる。 一瞬、肩が跳ねたけど、シッカリと抱きしめてる俺の腕の中、身動きは出来ひん。 「好きや」 「……誰とでもキスする人のキスなんて、何も証明しないんだから」 まぁ、その言い分は正しいな。 「な、に?」 「ん?」 確かに、誰とでもは言い過ぎにしても、好きやない相手でもキスもソレ以上も出来る。 やから、コレが証明になるかも解らんけど、 「めっちゃ、好きやで」 朱音の手をとって、俺の左胸にその掌をあてる。 「蓮さ、」 そのまま、また、キスを一つ。 自分でも跳ねる心音が、解る。 「言うておくけど、流石に心音まではコントロール出来ひんからな?」 結構、心臓バックバクやねんで?ホンマ。 「朱音が、俺の好きを信じられる迄、側に置いてぇや」 「……信じる前に、居なくなりそう」 「ホンマ、信用ないねんな?俺」 「ある訳ない」 まぁ、そらそーやろうけど。 「頑張りマス」 「……私、何で、こんな人好きなんだろう」 眉根を寄せた呟きに、苦笑。 確かに。俺から、この見てくれ取ったら、大したモン残らんからなぁ。 「好きに、理由は無いやろ?」 「……って事は、蓮さんが私を好きなのにも理由が無いの?」 「並べれ言うんやったら、並べるけど、」 理由なんて、後付けのこじつけやもん。 「ココロ、一つ。やろ?」 ココロが揺れたり、ココロに響いたり、ココロが震えたり。 そーゆぅんが、愛やんな? 「ちゅう訳で、とりあえず、部屋に上がらへん?」 「え?あ、」 「あ、大丈夫やで?朱音が信じてくれる迄は、手ぇ出さん様にするから」 「……キスされたけど」 「え?キスは手ぇ出す内に入るん?」 言うた俺に、鋭い視線。 「やっぱり、絶対に信じない」 「解った!キスもせぇへんから」 「違う!蓮さん、絶対浮気するもん。キスは浮気だからね!!」 「しない。朱音以外にしない。誓うって」 あぁ、凄いな。 俺、振り回されてる。 「朱音」 「知らない!」 コレが、愛やんなぁ。 [End]
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