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「……っ、好き、です」
突然、告げられた言葉。
ただ、その声の主が落としたKitacaを拾って渡しただけ。
「は??」
「あ、あの、私、」
まぁ、別に初めてでも無いねんけど。
ただ、地下鉄駅改札近くで。ちゅうんは初めてやな。
知らんオンナに告白されるんは、慣れてる。
せやから、返事も決まってる。
最近のお気に入りの返事は、
「俺、彼氏居るから」
一番、効果的やねん。これ。
「…………、え??」
「だから、彼氏が居るの。俺。そーゆー訳で、悪いけど、君に興味ないんだよね?」
そう、笑顔で言えば、固まるオンナ。
汚いモノでも見る様なカオするオンナも居れば、なかなか現実を受け入れられないオンナも居て。
後者やな?この子。
まぁ、別に好きなだけ固まってて構へんけど、
「蓮?何してるん?」
「あー」
どーせなら、トドメでも刺しとくか??
なんて思って、
「っ、」
近寄ってきた隆也の胸倉を掴んで、その唇に軽く触れる。
きょとんとしたカオで俺を見る隆也に、とりあえず笑顔。
「何?」
「……コイツが、俺の彼氏」
隆也の疑問には答えんと、目の前のオンナにそう言えば、ただでさえ白い肌から血の気が引いた真っ青な顔で、俯いた。
「そーゆー事だから」
言って、その横を通り過ぎて、改札を通る。
視界の端に、茫然と立ちすくんでる姿が映るけど、そんなん俺にはどーでもえぇ事やし。
そもそも、知らん相手から好きや言われても嬉しくは無いで?
気持ち悪いやん。
ストーカーか?とか、思うやろ??
どーせ。
まぁ、親に感謝すべきではあるんやろうけど、この見てくれで勝手な妄想して、好きや言うんやろ?
そんな薄っぺらい好きに、何でこっちが真剣に答えなアカンねん。
10代半ばの頃なら兎も角、えぇオトナやで?そんな好き、ひくんが普通やん。
「なぁ、蓮ちゃん。今の何?」
「……好きや言われたから、彼氏居るって答えてん」
「それで、ちゅうなん?」
不思議そうな顔するけどな、お前も動じなかったやんけ。
「今更突っ込むか?」
「や、ちゅうは、酔ってる時は、結構あるから。今更、驚きもしないやろ?」
今は素面や!
「彼氏。はちょっと驚いたけど。ちゅうか、そんな断り方してるん?」
「せやで。一番、効果的やねん」
「……まぁ、そらそーやろな」
おもろいで?
そのオンナの本性が見えたりもするからな。
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