Vol.01

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  「……っ、好き、です」 突然、告げられた言葉。 ただ、その声の主が落としたKitacaを拾って渡しただけ。 「は??」 「あ、あの、私、」 まぁ、別に初めてでも無いねんけど。 ただ、地下鉄駅改札近くで。ちゅうんは初めてやな。 知らんオンナに告白されるんは、慣れてる。 せやから、返事も決まってる。 最近のお気に入りの返事は、 「俺、彼氏居るから」 一番、効果的やねん。これ。 「…………、え??」 「だから、彼氏が居るの。俺。そーゆー訳で、悪いけど、君に興味ないんだよね?」 そう、笑顔で言えば、固まるオンナ。 汚いモノでも見る様なカオするオンナも居れば、なかなか現実を受け入れられないオンナも居て。 後者やな?この子。 まぁ、別に好きなだけ固まってて構へんけど、 「蓮?何してるん?」 「あー」 どーせなら、トドメでも刺しとくか?? なんて思って、 「っ、」 近寄ってきた隆也の胸倉を掴んで、その唇に軽く触れる。 きょとんとしたカオで俺を見る隆也に、とりあえず笑顔。 「何?」 「……コイツが、俺の彼氏」 隆也の疑問には答えんと、目の前のオンナにそう言えば、ただでさえ白い肌から血の気が引いた真っ青な顔で、俯いた。 「そーゆー事だから」 言って、その横を通り過ぎて、改札を通る。 視界の端に、茫然と立ちすくんでる姿が映るけど、そんなん俺にはどーでもえぇ事やし。 そもそも、知らん相手から好きや言われても嬉しくは無いで? 気持ち悪いやん。 ストーカーか?とか、思うやろ?? どーせ。 まぁ、親に感謝すべきではあるんやろうけど、この見てくれで勝手な妄想して、好きや言うんやろ? そんな薄っぺらい好きに、何でこっちが真剣に答えなアカンねん。 10代半ばの頃なら兎も角、えぇオトナやで?そんな好き、ひくんが普通やん。 「なぁ、蓮ちゃん。今の何?」 「……好きや言われたから、彼氏居るって答えてん」 「それで、ちゅうなん?」 不思議そうな顔するけどな、お前も動じなかったやんけ。 「今更突っ込むか?」 「や、ちゅうは、酔ってる時は、結構あるから。今更、驚きもしないやろ?」 今は素面や! 「彼氏。はちょっと驚いたけど。ちゅうか、そんな断り方してるん?」 「せやで。一番、効果的やねん」 「……まぁ、そらそーやろな」 おもろいで? そのオンナの本性が見えたりもするからな。  
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