おまけ―卒業―

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 あわわ、教えちゃったっけ?  ゆーかちゃんが冷やかすようにほくそ笑んで肘で突いて来るから、益々カアッと上せて来て、焦りまくって、べらべらと喋る。  「そ、そう、そうなの!  だから、絶対落ちる訳に行かなくてね。  もう、必死に勉強したの。  だから、受かった時は嬉しかったけど、兎に角ホッとしたよ~。  毎回のスパルタに耐えに耐えた甲斐があったと……」  「ふ~ん。スパルタねぇ~、受かったんだから甘いご褒美ももらったんだろ! コラッ、白状しろ!」  だけど、ゆーかちゃんは誤魔化されてくれない。  ご褒美……それは、実は毎回頂いておりましたが、ここで口にするのははばかられます。  「フフ、ゆーかちゃん、許してあげなよ。  フフフ  ゆいちゃん真っ赤だよ。  あんまり苛めると先生にもばれて睨まれるよ?」  「え゛ー?!  このネタでそーちゃんを揶揄えるのにー。  まっ、大体の想像はつくからこの位で許してやるかー。  ヒヒ。ゆいちゃん見てたらまだなのは分かっちゃうもんねー。  きっと、ずっと我慢の子だったんだよ?」  「ゆーかちゃん、ちょっと……」  まりちゃんの援護で何とか窮地を脱する事ができたけど、ゆーかちゃんは一人で妄想たくましくしているみたいで、まりちゃんがやれやれと呆れた顔をしてため息を吐いている……。  まだ……  はい、まだです。  だって、この1月に18歳になったばかりだし。  誕生日当日だって、受験日だったし。  でも、そう……ご褒美が、私のやる気を持続させてくれたのは確か……。  「何考えてるの?」  「本命の受験、終わったらもう、家庭教師に来てもらえない……  今日、最後だよね……」  「ククク、受験が終わったら遊べるだろうに、俺のスパルタの方がいいんだ」  本命校の、個別の受験日が明後日に迫っていたその日、家庭教師最後の日で、そしてバレンタインデーでもあった。  「滑り止めの方はセンター試験で受かったんだよね」  「うん、女子大だけど、お母さんご推奨のお嬢様女子大じゃ無い方に受かれた。  でも、もう、手続きの締切が間に合わないから、入学金振り込んじゃったんだよね……」
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