ー1ー漫研とのコラボ

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 と言ってる間に漫研部室に着いた。  一番北側に位置するその場所を「辺境の地」と呼んで、部員自ら自虐ネタにしているとはさやか先輩の弁。    「こんにちはー、文芸部でーす。」「おじゃましまーす。」  高原部長を先頭に8人ほどの文芸部員がぞろぞろと漫研に入って行く。  私とヨーコちゃんはその最後尾についていた。  「いらっしゃい。漫研の部長の天野です。」    私達を迎え入れてくれた部長の天野さんはセミロングの髪を耳の下で二つ縛りにした、おっとりとした優しい雰囲気の3年生女子だった。  うちの学校の文化部は大体文化祭が終わってから3年生が引退する。  高校生活最後の文化祭、3年生の思い入れはかなり強いのだと思う。  天野さんもそんな意欲が溢れたような笑顔で私達の顔をぐるっと見渡す。  「よろしくお願いします。部長の高原です。」  「副部長の工藤です。コラボを受けて頂いてありがとうございます。」  長身の高原部長やさやか先輩の後ろで視界を遮られていた私だが、先輩達が横にずれて漸く部室内を見渡す。  それぞれ机に向かって漫画を開いたり、白い紙にペンを走らせたりしている漫研部員。その殆んどは女子。  私としては親近感の湧くオタク系の子も多い。  うちの部長や宝塚系のさやか先輩を熱っぽく見つめる視線は、そりゃまあそうですよねーと頷きたくなったが、部室を見まわして行くうちに知った顔を発見した。  え?漫研だったんですか?  
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