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白いワイシャツの袖を肘までまくり上げ、グレーのズボンを履いた足を組んでその上で漫画らしき雑誌を捲るその人物もこちらを見て少し驚いたようだ。
読んでいた雑誌を机の上に伏せて立ち上がり、部室の奥からこちらに歩いて来た。
「そう言えば文芸部だったか。よろしく橘。」
「委員長……たまたまここで遊んでいる…とかじゃないよねー。」
「はは、そんなにおかしい?僕が漫研って…」
クラス委員の久我…ええと、陽生(あきお)だったよな確か…。
久我君はそばまで来ると壁に手を突き私を見下ろした。
先生や高原部長程ではないけど背が高くて痩せている、丁度……
「委員長ってストイックなマラソンランナーってイメージなんだよね。
陸上部とかけもちとかしてたり?」
「おー凄い、中学校ではやってたよ。大当たり、長距離だった。」
おー、私の妄想力もなかなか捨てたもんじゃないではないか。
と、得意になったところでさやか先輩に注意されてしまった。
「ゆいちゃん、個人的な挨拶は後で。
まず全員で自己紹介して、その後漫研の方達の作品をみせて頂くことになってるから。
ですよね、高原部長。」
さやか先輩普段と全然違う、いつもは呼び捨てにされてる高原部長も目、見開いちゃってるし。
「ああ、そうだね。
天野さん、誰が描いたかは伏せて見せて頂いた作品を文芸部員がそれぞれ好みの絵を選ぶって事でよかった?」
「はい、まるでオーディションですねー。
緊張するけど、それでOKしちゃったんで。」
何だか、今日の顔合わせ自体がイベント的ですねー。
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