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宇佐美の目は真っ黒だ。
さっきの久永郁人と同じように。
今、自分が何をやっているのか分かっているのだろうか?
ナイフを僕に向け、じりじりと迫ってくる。
僕は宇佐美の目をじっと見つめた。
宇佐美のナイフを持つ手がぴくりと動く。
そのとき。
「……そんなことしなくったって、お前は今、生きてるだろうが!」
再び突進してきた宇佐美の右腕を取り、ひねる。
小さな呻き声とともに、ナイフが床に落ちる。
僕は爪先でナイフの柄を蹴り、宇佐美の身体を抑え込んだ。
後ろから抱きかかえられるようにして取り押さえられた宇佐美は、「離せ!」と喚いている。
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