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宇佐美が由羽を引っ張る。
亜美は宇佐美を呼ぼうとしたのだろう、口を少し開けたが、すぐに閉ざしてしまった。
「来るなよ! 来るな、早く郁人さんを解放しろ!! それができないんなら、僕が郁人さんの代わりにやってやる。ずっと、郁人さんでさえできなかったことを、僕が……僕が……!」
由羽は何が起こったのか分かっていないらしく、きょとんとした顔で宇佐美の腕の中にいる。
宇佐美は武器を持っていない。
由羽を抱きかかえているからといって、すぐに首を絞めたり、危害を加えることはできないだろう。
今、宇佐美の隙を突いて側頭部に蹴りを入れ、吹っ飛ばすことくらいワケはない。
だけど。
「何をそんなに怯えてんだよ」
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