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――絵空事が大好きな父と母へ。
幼いころから「可愛い」「賢い」「礼儀正しい」「ピアノも上手」「将来が楽しみ」……惜しみなく賞賛を浴びる姉と、おとなしく何でもそつなくこなす僕を、あなたたちは誇らしげに育てていましたね。
お母さん、僕がダンゴムシを殺した日、あなたは汚物でも見るような目で僕を見ましたね。
ゾクゾクしました。
おしっこちびりそうになりました。
それまで、僕がバッタを殺そうとカエルを殺そうとそれに気づかなかったのに、ダンゴムシを1匹殺しただけで、何かこの世に存在することを許されない汚いものを見るかのような目つきで僕を見たのです。
初めて、僕を見てくれた。
あの感動を、僕は忘れていないのですよ。
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