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真田の瞳が、苦しげに細められる。
「……バーカ。さっきも、言ったろ」
「や……今、ききたい……」
「……バカ」
ふにっと口唇がやわらかく触れる。
真田の舌がチロ、とあたしの下唇を舐めた。
追い詰める指がすっと引き抜かれて、その軽い衝撃にビクンと震える。
代わりに宛がわれたものに、違う震えが沸き上がった。
「……菜月。好きだ」
「ん……真田……」
ぎゅう、と彼の首っ玉にしがみつく。
その耳元で、小さく漏らした。
「はやく、きて」と。
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