第7話

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   ロビーの時計を見ながら、真田は慣れたふうに受付の2人に会釈し、エレベーターホールに歩き出した。  あたしも慌てて同じように会釈すると、受付の2人は極めて事務的に「お疲れ様です」と返してくれた。  いつも通りなのに、なんか真田への態度とずいぶん違うんだけど。 「ねえ」 「あん?」  真田の隣に並んで、小さい声で訊いた。 「受付の人と、親しいの。真田」 「別に。今みたいに雑用預かってくれるから、話す機会がお前より多いだけ」 「……男の人の社員には愛想いいのかな」 「まあ、普通そうだろ。1年目だし、お前はあまり社内のことに興味なさそうだったし、他の部署の人間と話す機会は少ないだろうな」 .
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