第7話

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   待ちぼうけくらったらどうしよう。  まだ仕事中かも知れないのに、電話とかメールしても、いいのかな。  私服に着替え、コートを羽織る。  一生懸命睫毛をいじっている浜口さんに「お先に失礼します」と会釈し、更衣室を出た。  携帯の時計を見ると、6時7分。  真田の言った四つ角までは、3分も歩けば着いてしまう。  どうしたものかと思案しつつ1階に降り、ゆるゆるとした帰りの人の群れにまぎれながら、ロビーを抜けて外に出た。 「わ……さむ」  外に出た途端、ビュウッと吹き込んできた風に思わず怯む。  思わず、コートの襟を口元まで引っ張った。  寒さに弱いあたしは、首が寒いとすぐに風邪を引いてしまう。  軽くショールやスカーフを巻く程度で済む人が、羨ましい。 .
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