第7話

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   その瞬間、カツカツと重みのある足音が追いかけてくるのが判った。  真田かと思って振り返ると──。 「よかった。追いついた」 「……園田さん」  がっかりが顔に出ないよう、ほっと息をつく。 「はは。二股男だと思った?」 「……ノーコメントで」  二股というのを否定してあげられないのが、なんか切ない。 「真田と待ち合わせしてるんだろ。俺も、そこまで行っていい」 「え? どうして」 「二股男は、どんな顔して女を待つのかと思って」 「待つ?」 「真田、夕方うちの方に来てたんだよ。直帰させてやったから、だいぶ前からきみのこと待ってるはずだ」 .
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