570人が本棚に入れています
本棚に追加
その瞬間、カツカツと重みのある足音が追いかけてくるのが判った。
真田かと思って振り返ると──。
「よかった。追いついた」
「……園田さん」
がっかりが顔に出ないよう、ほっと息をつく。
「はは。二股男だと思った?」
「……ノーコメントで」
二股というのを否定してあげられないのが、なんか切ない。
「真田と待ち合わせしてるんだろ。俺も、そこまで行っていい」
「え? どうして」
「二股男は、どんな顔して女を待つのかと思って」
「待つ?」
「真田、夕方うちの方に来てたんだよ。直帰させてやったから、だいぶ前からきみのこと待ってるはずだ」
.
最初のコメントを投稿しよう!