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園田さんは面白そうに口の端を上げると、コツンと一歩近付いてきた。
「ねえ、あいつの何がいいの」
「答える必要、ないかと……」
「あるよ。だって俺、きみのこと本気で気に入ってるし」
「……!」
その瞬間、携帯が鳴った。
見ると、真田から。
時計は17分になっていた。
「あ」
「出なよ」
にこにこと笑う園田さんが、なんか不気味だ。
無言で頷いて、とりあえず園田さんに背を向ける。
「もしもし……」
『遅い』
ぶっきらぼうな低音が放たれた。
「ごめん」
『もう出たのか』
「うん、今向かって……きゃっ!」
ガシャンと、携帯が足元に落ちる。
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