第7話

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   ──急に、園田さんが背後から抱きしめてきた。  画面が点灯したままの携帯が、まだ通話中であることを示している。 「や、やめて下さい!」  慌てて園田さんの腕から逃れようとすると、彼のくぐもった笑いが耳に注がれた。 「真田ー、戻ってきた方がいいぞ」  薄暗い夜道、園田さんはまるで子どもをからかうような口調のまま、携帯のマイクが拾えそうな声で言う。 「何考えてるんですか! やめ……っ」  ぎゅっ、と更に抱き寄せられた。  どちらもコート越しだから、密着してるとは言い難いけど、でも。  真田の腕じゃないってだけなのに、こんなに違和感があると思わなくて。 .
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