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思わず、じたばたと暴れる。
「いてて、暴れないで」
もがきながら、高そうな革靴の先をヒールで踏みつけてしまった。
けど、園田さんが悪い。
「だったら、離して下さいっ」
「真田の秘密、知りたくない?」
「また、あなたはそんなことを……ッ」
もだもだと暴れていると、別の革靴の足音が聞こえた。
「まあ、大人しくしててごらん。悪いようにはしないって言ったでしょ」
「……!?」
後ろから覗き込んできた園田さんの口唇が、頬をかすめる。
「い、や……っ!」
「──菜月!」
ハッと、顔を上げた。
そこには、曲がり角から現れた真田が立っている。
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