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真田は一歩足を進め、あたしを通り越して園田さんを睨み付ける。
けど、“可愛い後輩”?
……真田が?
何か引っ掛かりを感じて、思わず園田さんを見上げた。
「園田さん?」
「しっ」
園田さんは、あたしにだけ聞こえるような低い笑いを耳元に落とした。
それに企みのニオイを感じて、妙な予感にゾワリとする。
「あの……」
「秘密」
「え?」
「ヤツの、秘密」
黙ってれば判る、と言外に含んだ園田さんの声。
もがくのをやめたあたしを見て、真田の目がこっちに動く。
「真田……?」
真田は恨めしそうにあたしを凝視していた。
その瞳の奥に、彼の中の何らかの迷いを見つけて、首を傾げる。
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