第7話

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   なんだろう。何か、あったっけ……。  園田さんに拘束されながら、ぐるぐると考えた。 『──菜月!』  出会い頭に、真田は咄嗟にあたしのことをそう呼んだ。  ……真田の部屋の、ベッドの上限定じゃなかったっけ。  呑気にそんなことを思い出してしまい、頬が熱くなってくる。  その瞬間、意を決したように真田の手が伸びてきて、あたしの手を掴んだ。 「……真田?」 「こいつ、離して下さい」 「うん?」  おどけたように、園田さんが鼻を鳴らして笑う。 「そろそろ、吐かない? でないと、上杉ちゃんは俺がお持ち帰りしちゃうよー」 「え?」 .
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