570人が本棚に入れています
本棚に追加
一体何の話をしてるんですか──。
そう言おうとした時、先に真田が口を開いた。
「……園田さん。ふざけるのはやめてくれ」
「足りなーい。もう一声」
園田さんが煽る。
びっくりして見上げると、ぐいと手を引かれた。
「きゃ……っ」
だからって園田さんの腕が緩まることもなくて、あたしは彼らの間で挟まれた状態になる。
鼻先に、ふっと真田の匂い。
ドキンと心臓が跳ねた。
意識するより早く反応してしまう自分自身に、戸惑う。
「……はっきりしないと、離さないよ?」
笑いは含まれているけど、ピリッとした園田さんの声。
もしかしなくても、これはひどい状況だ。
.
最初のコメントを投稿しよう!