第7話

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   一体何の話をしてるんですか──。  そう言おうとした時、先に真田が口を開いた。 「……園田さん。ふざけるのはやめてくれ」 「足りなーい。もう一声」  園田さんが煽る。  びっくりして見上げると、ぐいと手を引かれた。 「きゃ……っ」  だからって園田さんの腕が緩まることもなくて、あたしは彼らの間で挟まれた状態になる。  鼻先に、ふっと真田の匂い。  ドキンと心臓が跳ねた。  意識するより早く反応してしまう自分自身に、戸惑う。 「……はっきりしないと、離さないよ?」  笑いは含まれているけど、ピリッとした園田さんの声。  もしかしなくても、これはひどい状況だ。 .
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