第四話~激突する刃~

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 茶色いセミロングヘアーを後頭部で二つに括ってツインテールにし、同じ色の目が髪と同じように高くつり目。身長はトパズよりわずかに低そうだ。服はやはり他の二人と同様の黒い密着使用の衣服。スレンダーな体はお世辞にも胸元が豊かとは言えそうもなく、左の子は押さないという理由があるものの彼女の場合は憐憫と同情しか湧きあがらない。左の子と同様彼女も装備であるらしい弓と矢筒を腰につけたまま椅子に座っていた。  今にも唸り声が聞こえてきそうな目でじっと睨まれ、流石のトパズもいい気はしない。敵意丸出しの彼女に文句の一言でも行ってやろうとした時。 「こーら、そう睨まないの」  茶髪の少女の頭を、店主にトパズと同じものを三つ注文した緑髪の女性が軽く小突いた。 「あぅ」  ついさっきまで見せていた獣がごとき空気はどこへやら、気色が悪いほどに可愛らしい悲鳴を上げる。 「でも、さっきからこの女がお姉様を気色の悪い目でじっとりと舐め回すように見るから!」  駄々っ子のようにトパズを指さし唇を尖らせる。 「って、誰が舐め回すようによ!」  こうまで名誉を踏み躙られては黙っていられない。テーブルを叩いて抗議する。 「そーよコハク。それにあたしは貴女達以上に大事な子はいなーいの。わかってるでしょ?」 「はい……お姉様」 「いい子いい子♪」  言いくるめられて俯く少女の頭を優しく撫でる緑髪の女性。すると嬉しそうに、目を細め、頬を赤らめながら撫でてくる女性を見上げている。まるで恋する乙女のそれだ。 「お姉様。ぼくも」  ズイ、と頭を突き出す藍色の少女。変わらず無表情なままだがその行動は甘えたがりの子供でギャップが凄まじい。 「ごめんごめん、カイヤのことももちろん大好きよ♪」 「ん」  反応は薄いが、ほんのり頬に赤みが差していることが窺える。二人が心から真ん中の女性を慕っていることがよくわかる。確かに魅力的な女性だとは思う。同性から見ても彼女の容姿はこれまで見た中でも一番だろう。身内を差し置くのは少々心苦しいが、彼女の魅せる笑顔や一挙動作全てが見るものを魅了する力を秘めて感じられる。 「急にごめんなさいね。あたしはエメラ。それでこっちの可愛いのがコハクでー、こっちの可愛いのがカイヤ。二人ともわたしの大事な妹なの♪」
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