第四話~激突する刃~

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 そこにいたのは三人。真ん中に緑髪をサイドポニーにしたナイスボディの、蕩けそうな笑みを浮かべた女性が立ち、右に茶髪のツインテールにした勝気そうな少女。左にはかなり小柄な藍色のショートヘアーをした表情が氷のように冷たい少女。三者三様とはまさにこのことだ。まったく違う性格をしていそうだと顔で判断できるが、二の腕から太腿までを覆う、黒くて肌に引っ付くような奇妙な衣服を着ていることから間違いなく三人が互いを知る中であることは疑いようもない。 「なんだ? 村の人間じゃないな。旅の人か」  よっこいせ、と立ち上がり腰に手を当て首を傾げる。この際、真ん中の女性を見てアクアが「立派なおっぱい!」と反応したのはなかったことにしよう。  ただの旅人ではない。三人が三人、立派な武芸者だ。妖艶な空気を纏う女性は背中に超重量武器である偃月刀を背負い、きつい目をした少女は腰に弓と矢筒を提げ、無表情を貫く少女は腰の左右に一つずつ小さな丸い盾、バックラーを提げている。 「はーい、旅の人でーす♪」  背中の無骨な武器に似合わない可愛らしい仕草で返事をする女性。愛らしさを感じさせるが、似たような体格をしているルビアがしても鳥肌ものだろう。内心苦笑しながら再度尋ねる。 「隣町のクレピスならともかく、この村には観光に来るようなものも、買い物をするのにいい品物も特にはないと思うんだが……何の用だ?」 「ちょーっと探し物をしてるの。それでいろんな場所を旅してるんだけど、この村にもあるって噂を聞きつけてね? 来ちゃいました♪」 「探し物……」  脳裏をよぎったのは二人の義妹。あの子達の出自は不明だが、ただならぬ才能を持っている。もしかするとその出自も特殊なものなのかもしれない。無論ルビアはそんなことなどどうでもいいのだが、村の外の人間が同じ考えを持ってくれているとは限らない。他の少女達もトパズやダイチの嫌なことをするはずもない。仮に彼女達が二人を探していると言ったとしても白を切ればいい。 「で? 探し物ってのはなんだ?」 「おいおまえ、お姉様になんて口の利き方だ!」  不意に右の茶髪が絡んで来た。 「あん?」 「あん? じゃない。お姉様にがさつで品の欠片もない口で話しかけるな!」
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