第四話~激突する刃~

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「確かに強いのねー。この子達の連携をうまく凌いだのは今まで一人もいないわよ♪」  悠長に、そして余裕を見せつけて女が妖しく微笑む。  背後にはもうサフィはいない。腕の痺れが取れず戦線に復帰できない少女達がアクアとマリン、ペリドットを壁際まで連れて行ってくれたので周囲への被害もなさそうだ。 「……おまえ達はどうしてこの村へ来た。何が目的だ」 「やーっと話を聞く気になってくれたのね?」 「探し物と言っていたな。アタシが言うのは難だが、この村には何もない。探し物がここにはないはずだ」 「そーれがそんなことはなっいんっだなー♪」  楽しげに首を左右に傾げながら偃月刀を構え、跳びかかってくる。短い声と共に繰り出された鋭い斬撃をクレイモアでいなし、遅れて賭けてくる盾持ちと矢を番える弓使いを視界の端に捉え、警戒をしつつお返しとばかりに柄尻で鳩尾を狙って突き出し、それを右の肘で外へと流され、その勢いを利用して横薙ぎの斬撃を見舞うが、やはりというべきか膝と腰を曲げることで斬撃有効面から逃れてしまう。その彼女の背中を飛び越え盾を構えて突進してくる少女と、さらにわずかな遅れで飛来してくる矢。どこまでも息があった連携だ。  あの義妹二人とこんな風に連携は取れないぞと内心で苦笑をしつつ、地面に対して水平に振られている剣を軸に体を回し体を素早く左へ。大剣の慣性を利用した緊急回避。肩や腕への負担は大きいがやむを得ない。 「あたし達がここへ来たのはシオンの剣を探してるからなの」  下からの長物の突きを食らいそうになりながらバックステップで距離を開ける。頬を掠めた刃が浅い血の線を引く。 「あたし達も暇じゃないから、早く渡してほしいのよ」  重いはずの偃月刀を軽々しく扱い何度も突きを繰り出してくる。威力は確実にあるが速度で勝る細剣のそれを見切り続けてきたルビアには造作もなく回避できた。無論、それだけならば、だが。  ルビアに対して横へ移動していた藍色の少女が再び突進してくる。もはやバックラーが防御の装備ではなく武器となっている。  仕方がなく突きに対する反撃を諦めもう一度後ろに跳んだ。少女が横から通り過ぎるのを確認し、敵三人の場所を把握しながら、クレイモアを持ち上げ眉を顰める。
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