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まあベッドで寝てるんだけどなと笑う。
「大怪我してるんだから、気にしないで寝てていいのに。トパズは?」
「みんなの様子を見て来るって言って出ていったぞ。今頃村中を駆け回ってるんじゃないか」
「その割には兵長様は呑気ね」
「優秀な三人の部下が働いてくれてるんだから心配することなんて何もないだろ」
全幅の信頼を寄せてもらえていることだけを受け取りマリンは呆れ顔から真剣なそれへと切り替える。
「ルビア、あの三人の処分について話がある」
「ん」
短く喉で音を出し相槌を打つ。
「今回村に襲ってきた三人。エメラ、コハク、カイヤの三人全員がこちらの提案に応じなければ斬首。もしくは拘束し王都に連行しそちらの裁定に任せる」
多くの襲撃をし続けてきたであろう彼女達のことだ、調べれば多くの前歴が出てくるだろう。
「提案ってのは?」
「兵長と、実質的に副兵長という立場にある二人が復帰するまでの間、訓練士としてシオンの剣で教導をする。正式な仕事として依頼をするから少なくはあるけど報酬も出す。その間、ルビア達の家で食事と寝床を提供」
「……は?」
間を置いて返した言葉がそれだった。意味がわからない、といった風な兵長殿にマリンは小さく肩を竦める。
「確かにアタシやサフィが動けない今、そういった役割が必要なのはわかるし、悔しいがあの三人が強いのもわかるが……なんでまた?」
「わたしも驚いたけど、理由や目的、措置なんかを考えるとダイチの案は決して悪いものじゃない。むしろそれよりもいい方案がわたしには思い浮かばなかった」
「待て、考えたのはダイチなのか?」
ずっと疑問形で問いかけるルビアに頷く。
「あ、あとダイチ曰く『エメラさんよりもルビアさんの方が強いですよ』だって」
「はあ? 慰めのつもりか?」
「それは自分で聞いて。何を思ってそう言ったのか私は聞いてないから」
ややすね気味に返すルビアに素っ気なく言い、コハクから聞いた話をした。彼女達の生い立ちや、旅の理由。そこから得た情報でマリンとダイチで暴いた偃月刀の正体。
無言でずっと聞いていたルビアは難しい顔をして話を脳内で整理する。
「聖剣と魔剣か……。だが、まだ首を縦には触れそうにない」
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