第五話~決心する姉~

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「本当はわたしとトパズさん、ルビアさんと、あと義兄のヒスイさんの四人で住んでたんですけど、ルビアさんとヒスイさんは診療所で入院中ですからちょっと寂しくなるところだったんです。これからよろしくお願いしますね。あ」  返事を返す前に何かを思い出したのかダイチは振り返り再び後ろ歩きになる。 「でも、あまり部屋で盛り上がったりはしないでくださいね? ひどいと怒りますよ?」  何のことだろう。そう考え、ダイチの顔が若干赤いことを見て言いたいことに気づく。この無敵な少女の人間味を感じる部分に触れてエメラはクスリと笑みを漏らすことができた。 「一緒に誘ってあげてもいいわよー♪」 「お断りします! もしもそういうことしたら、三人とも揃ってご飯抜きですからね!」  憤然として足を速める幼い剣士。戦いに関する時とそれ以外の時の二面性が綺麗に存在し、少女の謎性をより深めて感じる。  そうこうしている内に家に到着した。 「数か月の間、ここが皆さんの家になります。それじゃあ」  くるりと振り返り、両手を腰の後ろで握って上半身を曲げ、愛の溢れる顔で笑った。 「おかえりなさい♪」
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