第1話

同感

美咲の声は、次第に小さな小さな声になる。

「少年団て、親の協力でもってるようなものなのよ。だから、親同士の絡みも濃ゆくなってしまって、1回失敗したら倍にも二倍にもなって自分のところに戻って来るから、気をつけてね。」

そんな話を聞くと、次の練習がとても怖くなってしまった。

美咲の言う失敗とは、口からポロっと出てしまう言葉や少し手抜きしちゃぉと思う行動のことかな？と解釈した。

ママ友達の集まりを見れば、美咲の言うことは確かに納得できるし、気をつけなくてはいけないな…と思った。

「それから～」

会話しながら徐々に大きくなっていた美咲の声がまた小さく戻った。

「沢田さんだけど…奥さんには気をつけて。あの人に嫌われると大変よ！コーチは尻に敷かれてるし、監督にまで文句言っちゃう人だから。あと、夫婦仲が良すぎるから？沢田コーチと会話しただけで、ヤキモチ妬かれて目をつけられちゃうから…」

目が大きく開き、思わず「え？」と聞き返してしまった。

久々に耳にする「ヤキモチ」という言葉。どれだけ夫婦仲が良くても、コーチと保護者だよ？

指導や子供の事で話をしなちゃいけない時もあるだろうと思っていた私にとって、理解するのに少しだけ時間が必要だった。