第1話

味方はいらない

「あっ、はぁ…。コーチの沢田といいます。」

新入団員か？
全く…最近の保護者は自分の名前も言えんのか？
それともあれか？個人情報？こんなところで？笑える。

「君の名前は？」

挨拶もろくに出来ない保護者は嫌いだ。僕は、その子の背中に手を当てて

「サッカー好きか？」

などと話をしながらグランドへ入った。

背中で、不安そうな母親の視線を感じながら「この人もまた、陰口で群がる保護者と同じようになるんだろう」と察した。

案の定、見学に来ていたママ友達との会話が弾んでいるようだ。

練習中くらいは、静かに子供達の練習をさせて欲しい。最近の子供達は、親の目を気にし過ぎて全く練習にならない。練習中に親に甘える子供達ばかりだ。