第1話

味方はいらない

「ごめんだけど、俺先に上がるわ！」

監督をやっている、後輩。武道　悟。悟はいつも、こうやって楽な方ばかり選ぶ。

「おう！木曜の練習は俺、30分くらい遅れるから。頼むよ！」

「俺も、木曜は来れないから。30分くらいは自主練習にさせるか。」

のんきだ。今の、現状で子供たちが自主練習など出来るわけがない。

「分かった。」

しかし、俺がそう言ったところで話が変わることもない。

「お疲れ様でした！先に上がります！」
それでいて、悟は保護者からの人気は高い。なんだかなぁ…。

保護者は皆反応して「ありがとうございました。」と次々と挨拶を返す。

保護者のご機嫌伺いが、俺は苦手だ。