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「はい、今日はこれで終わりにしまーす。気をつけ、礼」
キーンコーンカーンコーン…
HRが終わり、チャイムが1日の終わりを告げる。
バタバタバタ…
慌ただしい音とともに、大きな声が聞こえてくる。
「か~な~ちゃ~んっ!!」
『かなちゃん』と呼ばれた人物、森崎彼人(しんざき かなと)は深い深いため息をついた。
(またか…。これじゃまた礼一達にからかわれるだろうが…勘弁しろよ…)
ガラガラッ!バターン!!
教室のドアが豪快に開き、女子生徒が入ってくる。
「かーなちゃん♪一緒に帰ろっ?」
「…あー。澪、別にいいけどよぉ…」
「……?かなちゃんどうしたの?」
「……なんでもねぇよ…」
彼人がげんなりとしている理由は、たった今豪快に入ってきた女子生徒、十和田澪(とわだ みお)が入ってくるたびしゃしゃり出てくる馬鹿2人がいるからだ。
ヒューヒュー♪
「まーたまたあれですかァ?手ぇつないで帰っちゃったりするんですかァ?」
「そして自分の部屋から澪ちゃんの部屋に忍び込んであんなコトやこんなコトっ!」
「「きゃ~!!」」
「……馬鹿かおまえら。んなわけあるかよ…」
この馬鹿2人は、泉礼一(いずみ れいいち)とその取り巻き高野大(たかの だい)。2人は澪と彼人が幼なじみで、家が隣同士…ということを知っているため、彼人は彼らにからかわれ、振り回される毎日を送るのだった。全く、羨ましいんだか恨めしいんだか…
「………ほら、帰るぞ。澪」
「うんっ!!」
彼人はこれ以上ここにいると疲れる…と思ったので、さっさと教室から出ることにした。
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