第1話

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    おわりに  仏教に「愛別離苦」ということばがあります。愛する人と別れたり離れ離れになる苦しみのことです。それは父、母、妻、子そして恋人であったりするかもしれません。施設では外部の人との通信手段は限られていて、手紙の発信、受信さえ自分の思い通りになりません。  一方、人を愛するとか人を慕うという気持ちは、ある意味では生きる力につながる大切なものではないかとも思うのです。そして会いたくても会えないもどかしさと辛さには、愛情の強さや深さも同時に潜んでいるのではないでしょうか。  罪を償う者としてこの「愛別離苦」は、甘んじて受けるべきものでもありますが、閉ざされた社会で生きる人間の生活の中に、このエッセイを読まれて一つでもうなずいていただけるなら、これにまさる喜びはありません。                                   完
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