A Prelude

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少女を連れていくことを決めた時、しかしオズは迷うことなく正面からの雪原越えを選んだ。 あえて厳しい道のりを選んだのは彼女を試すためだった。 もし途中でへばったり、最初にした約束を違えて自分の助けを求めるようなら、すぐさまもといた孤児院へ連れて戻るつもりでいたのだ。 これから向かう場所はこの雪原よりも厳しい。 自分の目に自身はあったが、過信もしていない。 いってみればその試金石が雪原越えだった。 そして今、少女はそれを乗り越えようとしている。 だが、これで本当によかったのだろうか。 このような世界に連れてきてしまって本当に……… もちろん自分の期待に応えてここまで一緒に来てくれたことを嬉しく思うが、一方でもし途中でへばっていればこんな風に自分が思い迷う必要がなかったのもまた確かだ。 小さく息を吐いて顔を上げる。 いずれにしても、もう迷っている時間はない。 遠くから黒く細い紐のように見えていたものがもうすぐ目の前にある。 それは雪がない道だった。 雪原を突っ切るようにしてまっすぐ延びる道。 人一人やっと歩けるほどの幅しかなく、周囲に広がる雪の世界から見たらあまりにも細いが、しかしその自然の力をもってしてもすっかり飲み込むことのない一本の道だ。
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