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――――人は、死ぬと天国か、地獄に逝くのだと聞きました。
その、少女の姿をしたものは、どこか色のない瞳で、しかしまっすぐに、青年を見ながら言った。
――――ならば、私はどうなのでしょう。どこかへ逝くのでしょうか。それとも、ただ、消えてなくなるのでしょうか。
その声は、青年に問いかけながら、だが、自問するかのように、彼女は自分の胸に手を当てた。
そして、感情のない表情で――――しかしそれゆえにどこか消え入るような儚さをもって、再び青年に視線を戻す。
――――そもそも、私は、生きているのでしょうか。
青年は、ただ彼女の言葉に、微笑みを返す。
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