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「目が覚めるなら」
追いかけてくる月が怖かった頃に
無邪気さなんて置いてきたの
目に映る全てを疑う私は
100回洗っても足りないくらいね
いただきますと手を合わせるのは
夜な夜な悪夢をみるからなの
ごちそうさまと頭を下げるのは
からだが汚れたのを確かめるため
汚れないと生きられないから
少しでも汚れないように必死なの
でも夏には蟻が押し寄せて
私はまた黒ずんでいく
この星から消えてなくなる日には
どしゃ降りの雨で汚れを落とさせて
そしたら軽くなって月まで行けるわ
そうして兎のお餅を食べる
また明日、目が覚めるなら
また、黒く染まっているのね
涙を落として曇り空に言うわ
生きているのって最高ね、って
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