18459人が本棚に入れています
本棚に追加
「いやいやちょっと参考になるかなって思って!!」
「まだシェリアにはそういうのは早いの!」
「ほう、ならば誰なら参考になると?」
アイリスはその言葉をきくと、待ってましたと言わんばかりに腰に両手を添え威張りながら言う。
「もちろんアタシとライクスよ!!!」
「よし、その言葉しかと受け止めた! 行くぞ!」
「うん!」
うおおおおお!! と戦場にでも行くのかこの二人はという勢いで教室内にいるライクスに走り寄る。
「ライクス!! お前が俺に入り込む姿をアイリスに見せつけよう!!」
「リンヤ話が違うけど!?」
ギャーギャー! と騒ぐ仲間たちをシェリアは溜息を吐きながら横目で見守る。微笑ましいその仲間たちの姿がとても嬉しく、とても暖かい。彼が来てから一層賑やかになったこの日常が、どうかずっと続きますようにと彼女は願う。
その後ライクスに軽くあしらわられた二人は大人しく自分の席に戻ろうとする。意外にふざけ合うとこの二人は相性がいいのだ。
「全く余裕のない男だ。体の一つや二つ俺らに差し出せばいいものを」
「その通りだわ! んもう!」
ぷんぷん! という擬音が聞こえるくらいにはむくれているアイリスと歩きながらそう話す。すると、アイリスが雰囲気を変え、こっそりと臨也に話しかける。
「ねぇリンヤ。今日の放課後時間ある? ちょっと話したいことがあるんだけど」
「? 二人でか?」
「うん」
臨也はすぐ返事ができなかった。自身が『器』として時間に追われている以上早めに皆には打ち明けたいと考えていた。むしろ全員を放課後呼び出そうと臨也の方が思っていたがまさかの先手だ。
しかしあまり自分の中で整理できていないのも事実。そして、何やらアイリスの真面目な表情。何となく、その真剣な彼女の熱を冷ますわけにはいかないという気持ちになった。
(ゆっくり考えて明日話せばいいか)
考える素振りを見せ言葉を返す。
「いいよ。今日の予定はソフィーちゃんへの祈りくらいだからな」
「ありがとう! てかそんなことやってるの?」
さらっと気持ち悪いことを言う彼に軽く引きつつ、二人はそう話を終えた。平和な時間は、そうやってゆっくりと時を刻んでいった。
最初のコメントを投稿しよう!