彼女はその頃

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「さて、どうしよっか」 「ギルドがあるでしょうし、ひとまずギルドに行きましょう」  一旦宿へ戻り、着替えを済ました二人は街に佇む。 「というか珍しいね。そんな服着るなんて」 「動くわけでもない街ですし、これくらいでいいでしょう」 「それもそっか」  シェリアの今の服装は、可愛らしいスカートに上も涼しげな格好をしていた。静かなシェリアだがこんな服は決して嫌いではない。  唯一の不満があるとすれば周りの視線であろう。  ギルドに向かおうとするが、いかんせん場所がわからない。街を探索しつつで向かおう、とアイリスと話し合う。それからしばらく歩いていると、ふと誰かの噂を耳にした。  若者で、何か度胸試しのようなことを言っていた。 「そういや、あれどうだった? 噂の」 「なぁんにもなかったぞ。あれ本当か? 外れの森にドワーフがいるって」 「たまーに街にも出入りしてるらしいぞ?」 「でも何もないただの森だったしな」 「所詮は噂か」 「だな」  そんな会話をして、若者は人ごみに消えていった。  そしてその話に聞き耳を立てた二人は。 「ドワーフ、ですか」 「多分いるよね」  今の話、二人にとっては十分に信憑性があった。ドワーフと呼ばれる種族は、特殊だ。常人には決して見つけられないだろう。 「行ってみましょう」 「え、行くの? アランを探すんじゃ」 「ドワーフなんてそうそう見られません。それにこの国は隅々まで調査するつもりです」 「ふーん。じゃ行こっか」  アイリスは軽い調子で返した。もはや全てをシェリアに任せている状態だ。 「森って、西の方だったよね」 「えぇ、宿の地図にはそう記されてました」  頭の中に地図を入れた二人は、それに従い森へ向かう。  普通に歩いては確実に日が沈むため、人目を見計らい身体強化で移動した。そのおかげで到着したが、二人は確信した。 「いますね。間違いなく」 「こんな結界はれるなんて、稀少種族くらいだよね」  森を歩くと、ある一定の地点から森の中心点へと戻されループしていた。  景色も気づかぬくらいに巧妙なもので、二人も噂を知らなければまず気づかなかった程だ。
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