彼はその頃

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 この世にはあらゆる場所がある。星があれば空がある。空があれば陸がある。陸があれば自然がある。そして、自然があれば街がある。  ここはとある大陸。その大陸でもかなり栄えてる国があった。他の国とも比べて経済的にも潤滑しており、比較的裕福かつ平和な国。無論、ある程度の貧富の差は存在するが、スラムのような極端な者はいなかった。とても明るい国民達で常に賑わいを見せるようなところだった。  さてさて。今焦点を当てるのはその国でもちょっと違う賑わいを見せているところ。場所は某通りにある酒場に似た雰囲気のある店。そこは、当然酒場でもあるがギャンブルなども取り締まっている、小規模カジノのような大人向きのところだった。  真昼間からでも営業はしており、今現在でも賑わいを見せている。男性の比率が多く、どこかむさ苦しい。  その中でも、特に目立つ者がいた。それは外見。特に体格が大きいわけでも、小さいわけでもルックスがいいというわけでもない。それは、とてもとても普通としか言い様のない人物だった。ある一点を除けば。 「さらにレイズだ」  おぉ、と周りから声が上がる。  『その者』と向かいあう中年の男性は額から一筋の冷や汗を流し口を開く。 「正気かテメェ。これ以上乗せるたぁ」  テキサス・ホールデム。その者と男性がやっていることはポーカーであった。状況としては、多数いたものがその者と男性の一騎打ち。その者がどんどん掛金を上乗せするので恐れた者は次々と降りた。 「たりめぇだ。勝てる勝負だぞ? これで馬鹿なお前は釣られてレイズ、俺の一人勝ちって寸法だからなぁ」 「・・・上等だガキ! 乗ってやろうじゃねぇか!」  見事に挑発に乗った男性は勝負に出た。周りは嘲笑する者もいるが大半は盛り上がっていた。『その者』は臆することなく乗った。  男性の役はフルハウス現時点で考えうる最強の役。普通は負けない。 (な、なんなんだこの餓鬼。つい挑発され乗ったが奴は何故レイズした! 簡単だ、奴は負けるわけがないと思っているからだ。つーことは、俺のフルハウスよりも・・・!?)
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