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胡散臭いものを見る眼で臨也を見つめる。アイリスも苦笑しかできない。
ひと段落着いた臨也は、息を整えシェリア達を見据える。
「すまないね、待たせて。改めて自己紹介をしよう。俺はアランだ」
「それは無理があるよ、ソノザキ君?」
さも当然のように名乗った臨也に、アイリスが突っ込む。
シェリアは今も胡散臭いものを見る眼で凝視する。
「・・・はぁ」
頭をかき、もう諦めたように臨也はため息をついた。すぐそばにある脚の長い机と年季の入った椅子。そこに座ると適当に促す。
「座れよ、話せることは話す」
もし、長く臨也を知っている者が見たのなら少し驚くかもしれない。
珍しく、心底参ったような表情を作るその姿に。
「・・・茶入れたほうがいいか?」
「ん、頼む」
ドワーフが尋ねる。それを聞き、キッチンへと向かう。二人はどう見ても背丈とキッチンが合わず、どうやるのか見ていたが近くに置いてあった踏み台を使用していた。そりゃそうか、と納得したところで臨也が口を開いた。
「それで? まさか思い出したってーのか?」
「・・・その口ぶり、やはり貴方が何かをしたんですね」
「まぁな」
もはや開き直っているのか、先ほどの表情は消えヘラヘラとした表情を作る。
そんないつもの"彼"を見て、シェリアは良くは思わなかった。こっちは大事な話をしているというのに、という思いから来ている。
「ということは、君がそういう魔法を施したの?」
「そう思っていい。まぁお前らの態度を見る限り思い出しちゃいないんだろうけど」
そう会話したところでドワーフがお盆にカップを載せてやってきた。
シェリアとアイリスの元へ行くと、机に置けないので取ってくれと促す。本日二度目のお茶だな、と心の中で思う。
「あれ、オッサン俺のは?」
「お前客じゃねぇだろ」
「なんと・・・」
何驚いてんだコイツ、とドワーフが言うと臨也の隣りに座る。
難なくジャンプすることで椅子には座れるようだ。
「で、リンヤ。誰だこの子達は?」
「水色がシェリアで白いのがアイリス。あの英雄だよ」
「なっ・・・!?」
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