自称凱旋

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「あんなあっさりした別れでよかったの?」 「んぁ? 大丈夫だろ。こんなんで一々女々しくしてらんないっつーの」  三人並んで森まで歩いていると、アイリスが少し心配そうに話しかけてきた。  何故か真ん中を歩いているのは臨也である。 「つーかよく魔法陣なんて用意できたな。軽々しくできるもんじゃない代物じゃなかったか?」 「召喚士って色々反則だからねー」  あはは、とアイリスが笑いながら答える。つまりシェリアがやった事だということだ。  そう言われたシェリアは一見無表情だが、僅かに口元が釣り上がっており嬉しく思ってそうだ。 「誰にでも取り柄はあるんですね!」 「怒りますよ?」  ギロリ、とシェリアは臨也を睨む。臨也は一切目を合わせようとしない。 「あぁ、これでやっとライクスに会えるのね! 嬉しいなぁ」 「そういやお前ら二人だけで黒きイケメンと名高い俺を探したのか?」 「いえ、手分けしてそれぞれ旅立ったんです。後思い上がらないでください」 「さーせーん」 「・・・ムカつきますね」  乙女のようにはしゃぐアイリスと仲良く喧嘩する二人。  そこでアイリスはつい声を漏らす。 「本当、仲良すぎだよねぇ」 「そ、そんなわけないでしょう馬鹿馬鹿しい」 「ふっ、恥じらうな水色よ。俺は全てをわかっている」  何理解した顔してんだこの男、と思いシェリアが杖で思いっきりつつこうとしたところで目的のものが見えてきた。 「お、これか?」 「だね」  芝のようなものが茂っているスペースの中、それはあった。五芒星のような模様に円で囲み様々な絵や文字が何かで描かれていた。  直径5メートル程度のもので、淡い黄色で点滅していた。 「どこに繋がってんのこれ?」 「王の城ですよ」 「ココロパパか」 「失礼だなぁ・・・」  それぞれ言うと、魔法陣の中へ足を踏み入れる。それを確認したシェリアは口を開いた。 「では、行きますよ」 「うん」 「早くしろ!」  杖をひと振りすると、魔法陣の輝きが増した。それは目を瞑るほどに明るくなり、昼間の森の中でその場所でのみ光の塊ができる。  転移する時に臨也が『痛いっ!?』と声を漏らしたが察しよう。  ――こうして、園崎臨也の三度目の人生が本格的に始まった。  敵は『まだ』いない。
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