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「アタシもリンヤ君を信じるよ。どう考えても悪人じゃないし・・・」
チラリ、とアイリスが臨也へ目配りをすると言葉を続ける。
ちなみにこの時臨也は『フラグが、フラグが立った!』と内心思っていたがとんでもない思い違いである。
「ボルゼさんから色々と聞いたからね!」
アイリスは明るい笑顔でそう言い切った。
仲間二人から信頼を寄せる男。そこまで言われると、もはや疑う気など徐々に鎮火してきた。
「僕は初めから微塵も疑ってなどいませんでした!」
「お、おう」
「お兄ちゃん・・・」
胸を張るココロに対し、『何言ってんだコイツ』と冷ややかな視線を送る臨也と呆れと恥ずかしさが出るソフィー。
ちなみにソフィーはまだリナに抱きしめられている。
「・・・ということそうだが、ライクス?」
「あぁ、そうだな」
デュアルが小さく笑い、お前の負けだとでも言うように話しかけた。ライクスももう一切の警戒心がなかった。こちらが憶えていなくとも臨也と共に過ごしたことがあるというのはきっと本当なのだ。
そしてシェリアの言葉を止めに、ライクスだけではなく全員彼に心を許してしまっていた。
「リンヤ」
「ん?」
ライクスが小さく歩み寄る。その銀髪を揺らしながら、優しい笑みを浮かべて手を差し伸べ言った。
「これからよろしくな」
「よろしく、イケメン君」
臨也はぶっきらぼうに握手に応え、これまた適当に返した。この時ライクスに対しアイリスとリナの二人が特別な視線を送ったのだが、本人は気づかない。
「さ、もう今日は疲れた。マジ疲れた。続きは今度話すから今日は解散な」
「最高級のお部屋を用意しますね!」
個性が豊かな仲間達。臨也というキャラクターによって、それぞれの本質が不思議と引き出されるようだ。この光景は確実な平和だ。
しかし、誰も気づいていない。既に臨也の身の回りで起きている異常に。そもそもの『学ラン』を身にまとっているという意味は恐ろしすぎるものだと。でも今はいい。
しばらくの間は確実に平和な日常が続く。
だが断言する。その果てに、園崎臨也の結末に。ハッピーエンドは決して訪れない。
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