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「逆にめっちゃ行儀悪くしたらどうだろうか」
「ダメに決まってるだろ」
席に着きそう会話するが、こうやって話していること自体が既に駄目なのかもしれない。そんな考えが二人に浮かんでしまう。
席も凡人(臨也)には中々キツイものがあった。別段テーブルと椅子がおかしいわけではない。材質は知らないが、形は至ってオーソドックスなものだ。しかし、気がかりなのは周囲。店の広さはかつて臨也のいた地球のホテルを連想させるようなものだった。
周りに別の席もたくさんあるが、全て空席。静まり返っている店内のど真ん中に二人は居座っており、何故か監視されているような気分になってしまう。
「つーかメニュー表もねぇのかよ。とんでもねぇところだクレームつけてやろうぜ」
「頼むから静かにしてくれ・・・」
臨也という男とは縁遠い場所に来てしまったようだ。頭が痛くなってきたところで、先ほどの店員が戻ってきた。人影が一つ増えて。
「お待たせしました。まずはオーナーよりご挨拶をさせていただきます」
「・・・ふん、一人はともかくとしてもう一人は冴えないじゃない。ウチも舐められたものね」
店員が連れてきた人は女性だった。身長は平均的だがスラリと伸びた脚が錯覚を起こす。全身を黒い服で包んでいる。セミロングにウェーブのかかったバニラ色の髪の毛、鋭い目つきをしていた。
腕を組み、上からの目線の物言い。言葉遣いは荒くコイツがマナーの何たるかを求める輩か? と言いたくなるが、どこか品のある面持ちと悠々とした雰囲気。明らかに上の立場の者だった。
(おっぱいちいせぇなこの人)
「・・・オーナーが何の用ですか?」
発言したのはライクスだった。それにオーナーはライクスに向き合い腕を組みながら答える。
「私が貴方たちの食べる仕草の一挙一動を見るわ。答えは単純、私が求めるマナーを貴方たちが持っているかどうかを確かめるため」
「視姦とな・・・!」
ツラツラとライクスの聞きたいことを全て言った。その言葉に臨也が勝手に震えてるが誰も突っ込まない。
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