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「では、夜明け前まで少しでも眠っておきましょう」
そう言ってさっさと横になってしまう細山田。
健二は若葉をベッドまで慎重に運んで毛布をかけてやった後で、床板の上に大の字に寝転んだ。
しばらく小窓から見える薄暗い月を眺めていると、背を向けて寝ていたはずの細山田が独りごとのように呟いた。
「恭二さんも大門さんも、間違っていないと思いますよ」
詐欺師のくせに何言ってやがる。
健二は胸の内でそう呟いてから瞳を閉じる。
例え相手が悪党であっても、人一人を殺して埋めたんだ。
間違っているに決まっている。
それに、希望の村が壊滅した責任の一端は自分たちにある。
償いきれるものじゃあないだろうが……やれるだけのことはしよう。
あのガチんちょたちも、希望の村の女たちも、俺が救って見せる。
そしてこのゲームをクリアし、恭二と沙織が幸せだったあの時まで、時間を戻してやる。
そう決心をした健二は、久方ぶりに安らいだ気持ちで眠りについたのだった。
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