彼らの日々はかくありき

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 救出されたのは約1万5000人。  市の人口の十分の一にも満たなかった。  救助は困難を極めた。  なにせ外には魔物がうろついているため、救助にあたれるのはある程度の手練れに限定され、その人数は100名に届かない。  加えて、玄武戦の二日後にはインフラのほとんどが停止してしまったため、夜になると月や星の光以外に頼るべきものがなかった。  そうでなくとも夜は魔物が狂暴化してしまうため、救助活動ができるのは日中に限定された。  今では各インフラ設備を護っていた自衛官や警察官も、すっかりこの開拓村に退避している。 「さてさて春ちゃん。朝ご飯たべよっ」  朱音が得意げに鼻を鳴らしながらIFを弄ると、テーブルの上にバスケットが一つ、姿を現す。
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