鼓膜の記憶②

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「結果オーライって。そんな僕変わりました?」 「変わった。まあ役者は何でも芸の肥やしにしないとな」 「それで、脚本家は自分を切り売りするわけですね」   僕がそう言うと加藤さんはまたしてもニタニタ笑った。焼き鳥の肉汁が真っ赤になった炭に落ちてじゅうじゅう音をたてている。 食欲をそそる香ばしい匂いが胃袋をくすぐった。 玲子さんは焼き鳥とか食べないだろうな。 あの人と肉は何だか結び付かない。 .
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