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「夕輝(ゆき)、おはよう。」
朝、玄関のドアを開けると見慣れた制服に身を包んだ幼馴染が立っていた。
松野 柚多(まつの ゆた)。
人より顔が幼く、どちらかというと女顔で背が低い。そして何より口が悪い。
幼い頃に通院していた病院で出会ったやつだ。
「柚多。毎朝ありがとうな。」
「だって、一人で学校行くの嫌だし。」
ぶーぶー文句を垂らしながらも結局俺と一緒にいてくれる唯一無二の親友である柚多は、あるひとつの障害を抱えていた。
"ナルコレプシー"
そう呼ばれているこの病気は所謂睡眠障害だ。
自分の意志とは全く関係なく眠りに就いてしまう。
…俺にもとある病気があった。
"パラノイア"と呼ばれているこれは日本語では偏執病。
手っ取り早く言えば過剰妄想癖。
被害妄想など、ありもしないものを頭の中で創り出して現実のものと思い込んでしまうやばい病気。
どちらの病も脳の支障が原因らしい。
そのせいで幼少期はよく気味悪がられたものだ。
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