二階堂 馨と言う名の男

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梨恵の言葉に一瞬、馨は瞳を揺るがした。 「それで、両親の事を思い出したのか?」 「最初は、そうだった。でも、父が亡くなって私は独りぼっち。」 「親戚とか身寄りとかは?」 「居なかった……でも、千春の勧めで千春の家に居候生活をしたの。」 「何だ。良かったじゃないか…」 すると、梨恵は今までの不満をぶつかるように語り出した。 「良かった…?良くないわよ!私、千春と友人になってから、良くないことが腐るほどあるわ。中学の頃、片思い中の男子からラブレターをもらったと思ったら、千春に渡せって……それだけじゃないわ。他の男子は、千春の事を聞く目的に私に近付いてきたのよ!!」
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