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タツオは菱川浄児(ひしかわじょうじ)といっしょに動くことが多かった。この生徒はずば抜けて優秀だが、謎が深い。それでも同世代の友人として奇妙にウマがあうのだ。同じように戦闘中に父を亡くしているという事情が連帯感を生んでいるのかもしれない。
情報保全部の柳瀬(やなせ)に依頼された仕事はきちんと果たしていた。数日おきにジョージの日常の行動を報告する。ただし、それはともに過ごした時間の表面的な事実を精密になぞっただけで、友人を売り渡すような報告ではなかった。ジョージは他の生徒のように熱烈に日乃元皇国(ひのもとこうこく)への愛国心や進駐官としての夢を語るような生徒ではない。思想や信条については報告のしようもなかった。
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